ホームステイか、学校の寮か、ハウスシェアか?
高校卒業以降の留学生で、滞在費用を抑えつつ、より自立した生活を送りたいと考えるなら、ハウスシェアという選択肢があります。特に英語に不自由がなく、現地の生活に積極的に馴染みたいと願う方にとっては、魅力的な選択肢となるでしょう。しかし、その自由と引き換えに、様々な課題も存在するのがハウスシェアの現実です。今回は、このハウスシェアについて、そのメリットとデメリット、そして快適な共同生活を送るためのヒントを詳しくご紹介します。
#3 ハウスシェアという選択肢
ハウスシェアの魅力:費用対効果と自由な環境
ハウスシェアの最大の魅力は、なんといってもその費用対効果の高さにあります。家賃や光熱費、インターネット代などを複数人で分担することで、一人暮らしをするよりも格段に生活費を抑えることができます。これは、留学費用が限られている方にとって、非常に大きなメリットとなるでしょう。節約できた分のお金を、学費や旅行、趣味など、他の留学経験に充てられる可能性が広がります。
次に、自由な生活環境も魅力の一つです。ホームステイのように門限や家族のルールに縛られることがなく、自分のペースで生活できます。食事の時間も、シャワーの利用時間も、すべて自分の裁量で決められるため、より自立した生活を送りたい方には理想的です。また、家具や家電があらかじめ備え付けられている物件も多く、引っ越し時の初期費用や手間を抑えられる点もメリットです。
さらに、多様な人との出会いもハウスシェアならではの醍醐味です。ハウスメイトは、現地の学生や社会人、あるいは他の国から来た留学生など、様々なバックグラウンドを持つ人々です。彼らとの日常的な交流を通じて、語学力だけでなく、異文化理解を深めたり、新しい価値観に触れたりすることができます。時には、生涯の友と出会える可能性も秘めているでしょう。共同で食事を作ったり、リビングで映画を見たり、週末に一緒に出かけたりと、孤独を感じにくい環境であることも多いです。
ハウスシェアの現実:快適とは限らない共同生活
しかし、ハウスシェアは常に快適な生活を約束するものではありません。全く繋がりのない人々が一つ屋根の下で共同生活を送るわけですから、予期せぬ問題に直面することも珍しくありません。
共有スペースの管理と衛生問題
ハウスシェアで最も頻繁に発生する問題の一つが、共有スペースの管理です。自分の部屋以外は共同のキッチンやバスルーム、大きめのリビングルームがあるのが一般的ですが、生ゴミの片付けやバスルームなどの掃除を誰も率先してしなかったり、使用済みの食器が放置されていたりするケースも後をたちません。
たとえあなた自身がきちんと片付けをするタイプであっても、他のハウスメイトがそうでない場合、結局一人だけが常に掃除を押し付けられているように感じ、不満を抱くことになるでしょう。こうした衛生管理のズレは、ストレスの原因となり、共同生活の質を著しく低下させます。
生活習慣と騒音の問題
生活習慣の違いも大きな課題です。起床時間や帰宅時間の違い、シャワーを使う時間帯、夜遅くまでテレビを見たり音楽を聴いたりする習慣など、それぞれのハウスメイトが持つ習慣が衝突することがあります。
例えば、深夜までギターを弾く人、大音量で目覚まし時計を鳴らしっぱなしにする人、昼夜を問わず大きな声で電話をする人など、他人の生活音に悩まされるケースは少なくありません。特に、留学中は勉強に集中したい時間も多いはずです。こうした騒音は、集中力を妨げ、精神的な負担となる可能性があります。
金銭トラブル:光熱費の不公平感
金銭的な問題も、ハウスシェアでは起こりやすいトラブルの一つです。私が経験したハウスシェアで特に問題に感じたのは光熱費でした。ある時、使用している電気代や水道代などが急にかなりの高額に跳ね上がったことがあったのですが、その頃はハウスメイトが友人を自分の部屋に長期滞在させている時でした。ハウスメイトの個人的な来客によって光熱費が増加しているにもかかわらず、支払いを均等に割ることに不公平感を感じました。しかし、厳密に誰がどれだけ使ったかを計算することは非常に難しいため、結局は諦めるしかありませんでした。このような不公平感は、小さな不満が積もり積もって大きな亀裂を生む原因にもなりかねません。
価値観の衝突とコミュニケーションの難しさ
ハウスシェアは、そもそも全く繋がりのない人同士が一つ屋根の下で共同生活を送るわけですから、その人たちが元々どのような生活習慣や価値観を持っているのか、事前に全てを把握することはできません。自分が「常識」だと思うことが、他のハウスメイトにとってはそうではない、という状況に直面することは多々あります。
例えば、「使用したものはすぐに片付ける」「夜中は静かにする」「友人を泊める際は事前に伝える」といったごく当たり前のルールが、ハウスメイトによっては全く認識されていない、あるいは重要視されていないこともあります。こうした価値観のズレは、コミュニケーションの不足や誤解を招きやすく、やがては関係性の悪化に繋がることもあります。
ハウスシェアを成功させるための心構えと対策
では、ハウスシェアを成功させ、快適な留学生活を送るためには、どのような心構えや対策が必要なのでしょうか。
1. 事前の情報収集と確認を徹底する
契約前に、物件情報だけでなく、ハウスメイトの情報もできる限り集めましょう。可能であれば、事前にハウスメイトと会って話をする機会を設けるのが理想的です。
- ハウスメイトの人数、国籍、年齢層、職業(学生か社会人かなど)
- 生活習慣(夜型か朝型か、騒音の許容範囲、喫煙・飲酒の有無、来客の頻度など)
- 共同生活のルール(清掃当番、ゴミ出し、光熱費の分担方法など)
これらの点について、具体的に質問し、自分のライフスタイルと大きくかけ離れていないかを確認することが重要です。曖昧なまま入居すると、後々トラブルの原因となります。
2. コミュニケーションを密にする
問題が発生する前に、小さな違和感でも早めにコミュニケーションを取ることが大切です。相手の文化や習慣を尊重しつつ、自分の意見も伝える勇気を持ちましょう。
- 定期的なミーティング: 必要であれば、ハウスメイト全員で定期的にミーティングを開き、問題点や改善点を話し合う場を設けるのも有効です。
- ルールの作成: 入居時に、共同生活における基本的なルール(掃除の頻度、騒音、来客、光熱費の支払いなど)を明確にし、全員で合意しておくこともトラブル回避に繋がります。
3. 寛容な心と適応力を持つ
ハウスシェアは、多様な背景を持つ人々との共同生活です。自分が「当たり前」だと思っていることが、相手にとってはそうでない場合も多々あります。完璧を求めすぎず、ある程度の違いは受け入れる寛容な心を持つことが重要です。
また、全てが思い通りにいかない状況でも、柔軟に対応する適応力が求められます。時には譲り合い、妥協することも必要になるでしょう。これも留学を通して得られる貴重な経験の一つだと捉え、積極的に学ぶ姿勢を持つことが大切です。
4. 自分自身の生活空間を大切にする
共有スペースでの問題が多くても、自分の部屋だけは快適に保つよう心がけましょう。プライベートな空間を整えることで、心身の安定を保ちやすくなります。貴重品はきちんと管理し、盗難などのリスクにも備えることが重要ですし、自分が不満に感じることなくできることは積極的に行うようにしましょう。
まとめ:ハウスシェアは「小さな社会」
ハウスシェアは、まさに「小さな社会」です。そこで暮らす人々との関わりは、あなたの留学生活に大きな影響を与えます。金銭的なメリットや自由な環境は魅力的ですが、その一方で、人間関係や生活習慣のズレから生じるストレスも覚悟しておく必要があります。
しかし、これらの課題を乗り越え、多国籍なハウスメイトと協力しながら生活することは、留学において非常に貴重な経験となるでしょう。異文化理解を深め、コミュニケーション能力を磨き、問題解決能力を養う絶好の機会です。
ハウスシェアを選ぶ際は、メリットだけでなくデメリットも十分に理解し、事前にできる限りの情報収集と準備を行うことが、充実した留学生活を送るための第一歩となるでしょう。
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